欧州ローカル列車の旅 > 2012年 > ルクセンブルク・フランス > ルクセンブルクの盲腸線 (2)

ルクセンブルクの盲腸線 目次


目次 (1) ルクセンブルクの鉄道 Railway in Luxembourg
ノアツァンジュ〜リュムランジュ Noertzange - Rumelange
(2) ベッタンブール〜ヴォルメランジュ・レ・ミーヌ Bettembourg - Volmerange-les-Mines
エッシュ・シュル・アルゼット〜オドゥン・ル・ティッシュ Esch-sur-Alzette - Audun-le-Tiche
エッテルブルック〜ディーキルヒ Ettelbruck - Diekirch
(3) カウテンバッハ〜ヴィルツ Kautenbach - Wiltz
パラディソ Paradiso
カウテンバッハ Kautenbach

ベッタンブール〜ヴォルメランジュ・レ・ミーヌ
Bettembourg - Volmerange-les-Mines


 盲腸線巡り第二弾は、ベッタンブールから南へ垂れ下っている、やはりごく短い7.0キロの路線である。ローカル線と呼ぶほどではなく、終日に渡って運転本数が結構ある。朝夕や休日は途中で折り返す列車もあり、平日日中の運転間隔は30分毎だ。


CFL Horaire 60a Valable du 11.12.2011 au 08.12.2012 より引用

 ここは恐らくルクセンブルクでも最も観光と無縁な路線で、見どころなど何もない普通の街を走る線だと思う。それなのに、私がこの線に乗るのは3度目である。一度目は2000年、初めてルクセンブルクを訪れた時で、その当時の終点、ドゥデランジュ・ユジーヌ(Dudelange-Usines)まで乗ってみた。ルクセンブルク市から近く、列車本数も多いので、短時間で乗りやすかったというのが理由で、このあたりが一体どんな所か全く見当もつかなかったから、とりあえず乗ってみたのだった。その後2003年に、この線は1駅延長され、現在の終点、ヴォルメランジュ・レ・ミーヌ(Volmerange-les-Mines)まで走るようになった。

 バスも集まるベッタンブール駅  ベッタンブール駅前のいくぶん平凡な街並み

 ルクセンブルクから南へ2駅のベッタンブールは、国内第二の鉄道の要衝である。まっすぐ南へ伸びる複線電化の路線は、もう次の駅はフランスであるから、国境駅でもある。ここで分岐して右へカーヴする路線が、今乗ってきたエッシュ・シュル・アルゼット方面への路線で、こちらは普通列車ばかりだが、やはり複線電化で本数が多い。その間にちょこっとだけ、南へ垂れ下っているのが、これから乗る線だ。利用者も多いのだから、ルクセンブルクまで乗り入れればと思うのだが、ルクセンブルク〜ベッタンブール間が飽和状態なのか、この支線は、出入庫の関係と思われるごく一部を除いて、全てベッタンブール折り返しとなっている。ベッタンブールで見ていると、ルクセンブルク方面との乗り換え客が結構多い。ベッタンブールも一応の街だが、基本的には住宅地のようで、通勤通学や買い物の目的地としての機能は弱いようである。

 やはり2000系2輌編成のヴォルメランジュ行き

 9時04分発のヴォルメランジュ・レ・ミーヌ行きに乗る。やはり2000系電車2輌編成であるが、さきほどのリュムランジュとは違い、朝の下り方向なのに、乗客が結構乗っている。

 単線となり、しばらくは長閑な所を走る。町が近づいてきたかなという所にある、町外れのちょっと寂しい駅が、ドゥデランジュ・ビュランジュ(Dudelange-Burange)である。ここまでが3.0キロ。そしてここからは、都内の私鉄並みの間隔で、ドゥデランジュ・ヴィール(Dudelange-Ville)、ドゥデランジュ・セントル(Dudelange-Centre)、ドゥデランジュ・ユジーヌと、頭にドゥデランジュがつく、ドゥデランジュ市内の4つの駅に停まる。そのたびに客を降ろしていく。これらドゥデランジュ4駅の駅間距離は、1.0キロ、0.5キロ、0.7キロである。特にヴィールとセントルが近く、500メートルしかない。ヴィールはフランス語で、英語ならタウン駅、ドイツ語でシュタット駅だ。実際、車内の二ヶ国語の自動放送では、デュデランジュ・ヴィールとフランス語で言った後に、デュデランジュ・シュタットとも言ったように聞こえたのだが、後で調べてみると、二番目はルクセンブルク語のStaadtであるらしい。どちらにしても、駅にはフランス語しか書かれていない。これはルクセンブルク全国共通である。

 これら4駅のうち、乗降客が多いのは、ヴィールとセントルである。そのあたりがデュデランジュの中心で、オフィスも商店街もあり、ホテルもいくつかある。デュデランジュは19世紀の終わり頃から、鉄鋼業その他の産業で栄えたらしい。今は重工業のほとんどが廃れてしまったようだが、首都ルクセンブルクに近い地の利のせいか、人口は減っておらず、ハイテク産業などでも栄えているらしい。

 ドゥデランジュ・ヴィール駅  ドゥデランジュ・セントル駅からの眺め

 ヴィールもセントルも、利用者は多いが単線の駅である。それに対して最後のユジーヌは、交換設備を持つ駅らしい駅である。2003年まで、ここが終着であった。ここまで来ると、まただいぶ町外れの風情となる。そして残った数少ない乗客は皆ここで降りてしまい、私一人になってしまった。

 ドゥデランジュ・ユジーヌ駅  荒涼とした眺めに変わるフランス国境への道

 反対列車との交換を待って発車。ここを出ると周囲がにわかに荒涼としてくる。低い山が迫ってくるのだが、線路の左側は大きな廃工場が無残な姿を晒しているのだ。そんな所を綺麗に整備された新しい線路を、回送同然の列車はゆっくり進む。そして3分ほどで、いかにも新しい駅という風情の終着駅、ヴォルメランジュ・レ・ミーヌに到着した。隣駅ユジーヌからの距離は1.8キロである。

 ヴォルメランジュ・レ・ミーヌというのは、そういう名前のフランスの町であるが、町の中心は、この駅から数キロ先にある。けれども駅の少し手前で国境を越えてフランスに入ったので、この駅もフランスに立地する。ルクセンブルク国鉄が、ルクセンブルク国内で終着だった短い盲腸線を、1駅1.8キロ延伸してフランスに入った所に駅を作った、といういわくつきの駅らしいが、もとよりフランス側の要望か協力があってこそ実現したに違いない。


 駅の横を道路が走っている。というより、この道路に沿って鉄道がここまで延伸されたのであろう。交通量は結構多い。道路を先に進むとすぐ、フランスの制限速度などを掲げた道路標識がある。前回、何の知識もなく来た時は、これを見て、ここからがフランスなのだろうと思ったものだった。ルクセンブルクの鉄道が国境を越えてフランスまで延ばすのは簡単ではないので、国境の直前に駅を作ってフランスからの乗客を集めようとしたのだろう、と勝手に解釈してしまったのだが、それは間違いであった。そう解釈したもう一つの理由が、この駅の何もない立地である。もしフランス側の協力もあって線路を延ばすなら、ヴォルメランジュ・レ・ミーヌの中心か、もう少しそれに近い所まで伸ばさないと、こんな町から離れた中途半端なところを終着にしても、フランスの人には利用されないのではないだろうか・・・

 駅前の新しい建物は会社らしい  駅前の道路向かいにある古そうなバー

 何はともあれ、折り返しの列車の時間まで、24分しかない。前回来た時は、この駅がルクセンブルク国内にあるのではと思い、歩いて先へ行って徒歩で国境を越えたつもりになっていたが、それは間違いであった。今日はこの24分の間に、反対側、ドゥデランジュ側に歩いてみて、道路の国境を見極めてこよう。そう思って反対側に歩いてみる。両側に森があり、人家もまばらな寂しいところだが、車は多い。朝だからか、特にルクセンブルクへ向かう車が多く、見ているとざっと8割程度の車がフランスのナンバーであった。

 駅より先のここからフランスを思わせる標識  ドゥデランジュ方向へ戻るとルクセンブルク国境がある

 道路の国境というのは、割と厳格に管理されているようで、実際に現地に行くと割と容易に見つかるものだ。しかも今回は、グーグル・マップで事前に調べてきた場所ともほぼ一致する。グーグル・マップも細かい間違いは多いが、今回はどうやら間違いなく国境に立てたと思う。道路の舗装の色が明らかに変わっている所があるのだ。ここが道路上の国境であることは、多分間違いないだろう。

 ここが国境とわかる道路の舗装の違い  駅にフリーペーパーを取りに来ていた車

 駅に戻る。小綺麗に整備された駅前に車が1台停まって、おじさんが降りてきた。列車に乗るのかと思ったら、駅に置いてあるフリー・ペーパーを取ると、また車に戻っていった。リュムランジュでも見かけたが、駅はフリー・ペーパーの置き場として機能していて、駅にそれを取りに来る人が結構いるらしい。しかし彼らは列車には乗ってくれない。

 9時42分発ベッタンブール行きの客となる。リュムランジュの時と同様、朝だから、ルクセンブルクへ向かう列車には客が少しは乗るのではと思ったが、ここからの客は私の他に1名だけであった。デュデランジュ市内の4駅で続々と客が乗り、ベッタンブールに着く時には座席の8割ぐらいが埋まっていた。

 ベッタンブールでは、ほとんどの客がルクセンブルク方面へ乗り換える。しかしエッシュ方面への乗り換えも多少はいるし、ベッタンブールで降りる人もいるようである。いずれにしても、ドゥデランジュは鉄道がしっかり利用されている町である。

エッシュ・シュル・アルゼット〜オドゥン・ル・ティッシュ
Esch-sur-Alzette - Audun-le-Tiche


 同じ所を行ったり来たりしているようだが、ベッタンブールで乗り換えて、再び宿泊したエッシュ・シュル・アルゼットへと戻ってきた。今日3番目の盲腸線は、ここで分岐して1駅だけの路線である。終点はオドゥン・ル・ティッシュという駅で、完全にフランスである。路線の距離は2.8キロで、1.5キロがルクセンブルク、1.3キロがフランスだそうだ。この線は割と昔からあるが、終着がフランスなので、ルクセンブルク国内一日乗り放題の切符で乗っていいのかどうかわからないということもあり、これまで乗ったことがなかった。乗りやすさという面では、平日であれば問題ない。日中30分に1本の割で走っている。土曜も同様に走り、日曜は完全運休になる。この点は、ドゥデランジュ・ユジーヌ〜ヴォルメランジュ・レ・ミーヌの1駅と同じである。

 ベッタンブールからエッシュへの列車は2階建て新車  エッシュで発車を待つオドゥン・ル・ティッシュ行き

 ベッタンブールからの列車のエッシュ・シュル・アルゼット着は10時13分だが、2分ほど遅れた。少々急ぎ足で地下道をくぐって3番線に行くと、やはり同じ2000系2輌編成の電車が停まっており、発車を待っていた。リュムランジュに比べれば本数も多いので、ある程度の利用者がいるのかと思ったが、誰も乗っていない。


CFL Horaire 60c Valable du 11.12.2011 au 08.12.2012 より引用

 定刻10時19分に発車。車掌が回ってきたが、切符のチェックはしない。今回も国内乗り放題の切符なので、別料金を払わないといけないのかがわからず、検札の際に聞こうと思ったのだが、車掌はさっさと通り過ぎてしまった。ということは、恐らく問題ないのであろう。ここに別料金がかかるのなら、有効な切符を持たずに乗って来る人も結構いるはずなので、きちんと車内で徴収しようとするのではないだろうか。

 エッシュを出ると間もなく本線と分かれて南へカーヴ  右手に現れた最初の廃工場

 エッシュを出るとすぐに左へカーヴして本線から分岐する。すると間もなく、右手に壮絶な風景が展開する。廃工場だか、選鉱所の跡なのか、そういったものが続くのである。左手は普通の住宅が並んでいて、その対象が妙だが、かつて鉱工業で栄えたという名残を、列車の窓からここまで強烈に感じた路線はない。ドゥデランジュの先もそんな雰囲気はあったが、ここの方がインパクトが断然強い。

 廃工場が続々と続く車窓右手  かつて国の産業を支えた地域も今は残骸

 このあたりはかつては鉄道の引込み線も多数通っていたようだ。線路際に草の茂った荒地は、その残骸だろう。そして線路はルクセンブルクからフランスへと入る。車窓風景からではどこが国境かはわからない。フランスに入ってすぐのあたりで、上を直角に廃線跡が横切った。一帯が国境を跨いで存在した一大鉱工業地域だったのであろう。

 これは鉄道の信号所施設の跡だろうか  上を廃線跡が直角に横切る

 そんな風に次から次へと現れる重厚長大産業の遺構に感動しながらも、僅か5分なので、あっという間に終着駅に着いてしまった。国境を越えること以外には特に何も期待していなかったが、面白い線であった。

 オドゥン・ル・ティッシュというのは、れっきとしたフランスの町の名前である。町の中心は駅から歩いて少し先、といっても5分もあれば着くのではないかと思う。その点もヴォルメランジュとは違う。30分に1本の列車があるので、折り返しは1本やり過ごして、少しこの町を歩いてみたかったのだが、後のスケジュールの関係上、12分後に折り返す列車で戻ることになっている。よって残念だが、駅付近の観察だけになる。駅付近は中心部から見れば場末であろうが、ヴォルメランジュのような何もない寂しい所ではなく、昔からの建物がそれなりに並んでいた。

 片面ホームだけの簡素な終着駅  ルクセンブルク国鉄の旧型駅名標が健在

 駅自体は、リュムランジュとは違い、単線の線路にホームがあるだけの駅であった。しかし今はそうなっているが、かつてはこのあたりももっと線路が色々と巡らされていたのかもしれないし、貨物列車も走っていただろう。国境を越えてフランスまで線路を敷いた理由も、人間よりは貨物のためだったのかもしれない。

 駅前の道路から先の中心部方向を望む  反対側のエッシュ方向

 駅近くで矢印のついた面白い道路標識を見つけた。Gare S.N.C.F.と書かれている。Gare は駅であり、S.N.C.F.はフランス国鉄の略である。フランス国内ではしばしば見かける標識で、駅はこちらという意味である。もし日本で「JR駅」という標識があれば、誰でも意味はわかると思う。それのフランス版である。けれども、ここはフランスではあるが、この駅はフランス国鉄の駅ではなく、ルクセンブルク国鉄の駅なのである。S.N.C.F.は間違いで、C.F.L.としなければならない。昔はフランス国鉄も乗り入れていたのか、それともフランス国内ではS.N.C.F.が完全に「駅」をあらわす普通名詞になっているのか、あるいはフランス人の意地で、ルクセンブルク国鉄であることがわかっていても、フランスにある駅だからあえてこういう表示を出しているのか・・・なんて色々なことを想像するのも、気楽な旅行者ならではである。帰ってから調べると、その昔はフランス国鉄もつながっていたのであった。フランスにある駅なのに、フランス国鉄が完全撤退し、隣から国境を越えてくるルクセンブルク国鉄だけが残ったという形である。メンツより実を取った結果だろうが、こういうのは珍しいし、面白い。


 いずれにしても、このあたりもルクセンブルクの通勤圏・商圏であり、この路線も今は主にエッシュやルクセンブルクへ出かけるこの町の人の旅客輸送のために存続していると思われる。だいぶ日が高くなってきたとはいえ、まだ十分午前中だから、ルクセンブルクへと向かう人が多い時間帯であろう。行きは誰も乗っていなかったが、帰りはある程度の客が乗るに違いない。そう思っていたが、驚くかな、ここでも私以外の乗客はおばさん1名だけであった。

エッテルブルック〜ディーキルヒ Ettelbruck - Diekirch


 エッシュ・シュル・アルゼットからルクセンブルクで乗り換え、ルクセンブルク発11時15分のベルギー直通快速に乗車する。2駅24分で、北部の中心都市の一つ、エッテルブルック(Ettelbruck)へと達する。


CFL Horaire 10 Valable du 11.12.2011 au 08.12.2012 より引用

 エッテルブルックは、ルクセンブルク北部では大きな町である。ルクセンブルクからの列車もここで一気に空いてしまう。バスに乗り換える人も多いようで、駅の横が一大バスターミナルになっている。列車とバスを乗り継いでも料金が変わらないシステムは、こういった乗り継ぎの心理的負担を軽減していると思われる。日本でも見習えないものかと思う。

 ベルギー国鉄の列車で着いたエッテルブルック  エッテルブルック駅舎

 エッテルブルックからは、東へまっすぐ、ディーキルヒ(Diekirch)まで4.3キロの支線に乗る。本日4つ目の盲腸線である。途中駅はない。本数も多く、ローカル線とは言えないかもしれない。しかもエッテルブルックでの待ち時間が長い分、終点ディーキルヒでは僅か4分で折り返すというスケジュールしか組めなかった。この区間は並行してバスも走っているので、行きはバスで行ければと思っていたが、あいにくタイミング良くバスが無かったので、ディーキルヒ行き列車の発車まで、エッテルブルック駅前でバス発着の様子などを観察していた。ある時間になると、行き先の異なる4台ぐらいのバスが一斉に発車したりして、なかなか壮観であった。

 エッテルブルック駅前の風景  4輌で着いて前2輌がディーキルヒ行きとなる

 時間が迫ってきたので、地下道をくぐって下りホームへ行くと、間もなくルクセンブルク方面から4輌編成の列車がやってきた。ここで切り離し、前2輌がディーキルヒ行き、後ろ2輌は本線をまっすぐ進んでベルギー国境手前のトロワヴィエルジュ(Troisvierges)まで、という列車なのだが、私はうっかりして、後ろの車輌に乗り込んでしまった。車内に行き先が出ていたので、すぐ間違いに気付き、前の車輌に乗り移ったが、きっと乗り間違える人もいるだろう。駅や車内での放送案内は全くない。

 エッテルブルックを出て本線から右へ分かれる  中間地点あたりの中途半端な車窓の景色

 この線は、それほど面白くない線である。途中の風景が中途半端に開けていて、郊外型のアウトレットがあったりする。乗るだけが趣味の人なら、乗り潰しでもするのでない限り、山が迫り、渓谷が美しい本線の方が断然良い。淡々と走って5分、途中駅もなく、終着ディーキルヒにあっさりと到着する。

 旅客ホームは単線1面だが重厚な終着駅  ディーキルヒで折り返しを待つ2000系電車

 途中の車窓は格別ではないが、終着のディーキルヒは、風格ある立派な終着駅である。町も、鉄道がわざわざ延びているだけあって、それなりに大きい。鉄道の駅は中心部より手前に位置するが、それでも駅前にもホテルがあったりと、閑散とした所ではない。町の中心はここから先へ歩いて5分ほどである。町は観光面でも多少の見所があり、いくつかの博物館もある。私も10年前に来た時は、ここの軍事博物館を訪れてみた。

 大きく立派なディーキルヒの駅舎  町外れの駅前だがホテルもお店もある

 けれども、ルクセンブルクの人にとって、ディーキルヒと言えば、ビールである。ビールの銘柄が多様なことではベルギーが有名だが、ルクセンブルクもそれに準じており、小さな国にしてはいくつものビールメーカーがある。その中で恐らくシェアが2番目ぐらいに大きいのが、ディーキルヒという、地名・駅名と同じ銘柄のビールである。そのビール工場が、駅のすぐ横にある。今回はすぐ折り返さなければならないので、ホームからビール工場の写真だけ撮って終わりにした。

 駅のすぐ裏がルクセンブルクを代表するビール工場  ディーキルヒ・ブランドのビールは国内どこでも飲める

 行きも帰りも1輌に十数名ぐらいの乗客がいただろうか。活況を呈しているとまでは言えないにせよ、平日日中もある程度は利用されている盲腸線であった。



ルクセンブルクの盲腸線 (1) へ戻る     ルクセンブルクの盲腸線 (3) へ進む