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トリノ~アオスタ 目次


目次 (1) ヴァレ・ダオスタの鉄道 Railway in Valle d'Aosta
トリノ~イヴレア Torino - Ivrea
イヴレア~アオスタ Ivrea - Aosta
(2) アオスタ~プレ・サン・ディディエ Aosta - Pré Saint-Didier
普通列車 Treno Regionale

アオスタ~プレ・サン・ディディエ
Aosta - Pré Saint-Didier


 町に入った風でもなく、周囲の風景もさして変わらないものの、減速し、両側に線路が広がってくると、列車は11時25分、3分遅れで終着アオスタに着いた。ホームが3面あり、構内も広い、主要駅の風格ただよう駅であった。下車客は50人ぐらいはいただろうか、大半の客がトリノまたはキヴァッソからアオスタまで乗り通していると言っていいだろう。駅舎は中規模だが、ローカル線としては十分立派で、トイレもあり、自動券売機が複数台あり、切符売場の窓口も開いていた。


 ホーム先端へ行ってみると、線路は先に延びていて、今も列車が走っていてもおかしくない。けれども遠くの方を良くみれば、レールも錆びついており、雑草が茂っている所もある。

 線路は先へ延びている  アオスタ駅舎

 到着列車は駅舎と出口に面した1番ホームに着いたが、間の島式ホームを隔てた遠い4番ホームに、数少ないイヴレア行きの普通列車が停車している。赤い快速とは形式の違う非電化区間用の青い気動車である。発車時刻なので、駅を出て線路に沿って急いで歩き、その発車を見送る。

 11時25分発イヴレア行きが発車していった  駅にほど近いバスステーション

 さて、アオスタの町の見物は後回しにして、まずは次のバスで、プレ・サン・ディディエへ行ってみることにする。バスは、ここアオスタからプレ・サン・ディディエ経由で、その少し先のクールマユール(Courmayeur)という所まで、綺麗に毎時1本走っており、クールマユールまでの所要時間もちょうど1時間である。次の発車は11時45分。検索でPDFの時刻表も簡単に見つかり、事前に調べがついていた。便利な時代になったと改めて思う。

 アオスタからのバスは、駅前ではないが、イヴレア方向に線路沿いに歩いて2分ほどの所にあるバスターミナルから出る。小規模ながら待合室と窓口があって、そこで切符を買ってからバスに乗る。プレ・サン・ディディエまではグーグルマップの道路地図で計測すると、31キロ、それが3.20ユーロだから、安いといっていいだろう。

 このバスは列車代行バスではなく、列車が走っていた頃にも並行路線として走っていたのがわかる。というのは、山奥のローカル線のようでも、古いヨーロピアン・タイムテーブルを見ると、列車に加えてバスの情報まで掲載されているのである。

 バスは10人ほどの客を乗せて定刻に発車、駅前を通って西へと向かう。駅の少し先がアオスタの市街地で、ビルも結構あり、市街地のバス停からも地元のお客が乗ってくる。小さな町でも州庁所在都市であり、その風格が感じられる。もし鉄道でアオスタ駅前だけ見てすぐ引き返していれば、アオスタの街の規模も活気も全くわからずに終わっていただろう。

 それでも人口3.5万の小都市、ほどなく街を抜け出る。しばらく行くと、右手に単線の線路が近寄ってきた。列車が走らなくなって6年半、当然線路は錆びついているし、雑草が生え放題の所もあるが、線路は全て残っており、踏切などの設備もそのままで、素人目には復活させようと思えば簡単にできそうに見える。

 イヴレアからアオスタは、風景も大柄で、駅間は人家も少なかったが、アオスタから先の方が、むしろちょこちょこと小さな集落があるように思える。実際、乗降客がなく通過する所が多いものの、バス停は頻繁に現れるし、かつての線路図を見ると、鉄道の方も駅の数が多く、駅間距離が短い。ただ、列車からとバスからとでは、風景、特に集落などの見え方が違うから、そのせいもあるだろう。つまり、線路よりは道路の方が集落の真ん中を通る所が多い。これは洋の東西を問わず、各地で鉄道とバスを乗り比べると感じることで、鉄道ならではの風景もあるが、鉄道だと見えない風景も多い。後者の代表が集落である。駅前集落みたいなものもあるが、多くの集落は道路に沿って存在する。車社会の現代にできた所もあるだろうが、田舎ではその多くは、それ以前の古くから街道沿いに開けた集落である。そういう集落は、列車からだとわかりにくい所が多い。

 サンピエール城  すぐにでも列車が走れそうな線路

 バスは概ね、SS26という国道を走り、そこにちょくちょくと停留所があるが、二ヶ所ほどは国道を外れて細道を集落の中心部を回って走る。鉄道だとできない芸当ではあるが、その分、所要時間増にはなる。それにしても、鉄道があった頃から、鉄道とバスが併存していたわけで、バスの本数も変わっていないらしい。利用者が少なくても、公共交通を維持することで、多くの集落が田舎なりに存続している、と言っていいのかどうかはわからないが、日本の似たような山村よりは活気があるように思える。

 現役に見える踏切もある  この線に乗ってみたい、と思わせる風景

 そうしてバスはほぼ定刻運転で、降りるべきプレ・サン・ディディエが近づいてきた。事前にダウンロードしておいた時刻表では、プレ・サン・ディディエのつく停留所が2つあり、一昔前ならどちらで降りるか迷ったであろう。今はスマートフォンとグーグルマップのおかげで、そういう心配もない。国道沿いの、プレ・サン・ディディエSS26という停留所である。私の他に若い男性が1名、ここで下車した。

 乗ってきたバスが去ってゆく  駅とレストランへの綺麗な標識

 爽やかな晴天のおかげもあり、国道沿いのプレ・サン・ディディエの風景は明るい。バスはさらに山奥へとモンブランのいただきへ向かって去っていく。斜め前方左へ道路があり、おしゃれな山小屋風の家並みが見えている。そちらがプレ・サン・ディディエの集落である。国道からそちらへ曲がっていく車もある。後で行ってみようと思う。

 対する道路のこちら側にも、谷へゆるやかに下っていく道がある。そこに、駅とレストランがあることを示す、それもまだ古びていない、綺麗な道路標識がある。けれどもこちら方向の景色は寂しい。歩いていけば、ほどなく渓谷を橋で渡る。その先、右へカーヴすると、レストランの建物が見えてきた。何のことはない、それがプレ・サン・ディディエの駅舎であり、駅前広場であったのだ。バス停から徒歩3分程度である。

 遠目には営業していそうなカフェレストラン  プレ・サン・ディディエ駅舎

 駅前には車が2台停まっており、人の気配もあった。ここに車を停めてハイキングにでも行くのかもしれない。駅舎も遠目には綺麗で、この写真だけ見せて、これは現役の駅舎ですと言えば、信じてもらえるだろう。しかし近寄って中をのぞけば荒れ果てており、横からホームの側に入れば、そこは別世界。草ぼうぼうの荒れ果てた廃駅そのものであった。


 駅自体は寂しい所ではあっても、終着駅だし、列車が走っていた頃は、ここでバスへ乗り継いで奥へ向かう乗客などで、それなりに賑わったのだろう。だから駅舎併設のカフェレストランも、列車さえ走っていれば商売になったに違いない。その昔は二等と一等の待合室が別にあり、その入口と看板も残っている。それより新しい時代の駅名標は2ヶ所あり、一つは草に覆われていたが、もう一つは綺麗な状態である。離れのトイレは便器などもなくなっており、ゴミ置き場と化していた。

 終着駅の車止め方向  ホーム側から見たカフェ入口

 このアオスタ~プレ・サン・ディディエは、廃線が決まったわけではない。2015年、安全上の問題が複数見つかって、運行停止になり、復旧のための資金が調達できず、以来、保留状態だそうだ。だから線路や駅、踏切などの設備もそのまま残っている。もしいつの日か復活すれば、もちろん乗りに来たいとは思う。だが、こう言っては悪いが、バスからの風景とこの終着駅の荒れようを見てしまうと、次回来ても、今回ほどのインパクトを感じないかもしれない、と思ったりもする。

2015年冬号の時刻表
プレ・サン・ディディエまでの鉄道時刻が掲載されている最後の時刻表
European Timetable Winter 2015/2016 edition より引用

 国道へ戻り、道路を渡ってプレ・サン・ディディエの中心部へも行ってみた。そこは廃墟も多少はあるものの、ほとんどが綺麗に手入れされ、花に溢れた美しい山村集落であった。ホテルやカフェなどもあり、旅行者なのか、熟年夫婦がテラスでのんびりとコーヒーを飲んでいる。一般住宅も点在しており、小学校もある。小さな店が多少あるが、スーパーもコンビニもないから、現代人が実際に暮らして便利かどうかはわからないが、昔からの変わらぬペースでゆったり山村暮らしをしている人々の姿が目に浮かぶような別天地であった。

 プレ・サン・ディディエの中心部  プレ・サン・ディディエは美しい山村集落

 ここまで来たので、1時間後のバスで、バスの終点、クールマユールへも行ってみる。バスはやはり10人程度の客を乗せて定刻にやってきた。クールマユールまでは僅か7分。クールマユールは、このあたりでは大きな集落で、宿泊施設も多く、山越え手前の宿場町のような所である。それなら鉄道はなぜプレ・サン・ディディエが終点で、クールマユールまで行かなかったのかは、バスで走ってみればわかる。この区間は、手前区間と比べると格段に勾配がきつい。プレ・サン・ディディエ駅の標高が1006メートル(ホームにあった標石)に対して、クールマユールは中心部で1224メートル。道路の距離から計算すれば、平均勾配30パーミル程度ではあるが、蒸気機関車時代だと、鉄道を通せるのがプレ・サン・ディディエまでだったのであろう。

 クールマユールの中心部  クールマユールはやや人家の多い山村集落

 クールマユールは、プレ・サン・ディディエと比較してしまえばだが、観光客を含め、人が多く、いくらか俗化した観光地風情であった。交通の結節点でもあり、有人切符売場のあるバスターミナルに隣接して観光案内所があり、その前にはファーストフード店のような飲食店があって、観光客がピザなどをほおばっている。小さな映画館や自動車販売店もある、そういう意味では小さいなりの地域の中核タウンである。道路交通でもここは重要なボーダータウンであり、フランスのシャモニーまでは、全長11キロのモンブラン・トンネルを経由して21キロ、車で35分で到達できる。少ないながらバスもあるので、今回の私も、シャモニーまで足を延ばせないか、考えたのだが、バスの本数が少なくて、しかも前日までの完全予約制なので、天候と気分によっての臨機応変な気まま旅には向かず、断念した。


普通列車 Treno Regionale


 最近の日本の地方都市では、所要時間を犠牲にしてでも快速列車を減らして各駅停車ばかりにしている所が多いように思われる。ヨーロッパにももちろん、そういう所もあるが、日本に比べれば、小駅廃止や小駅通過による、合理化を兼ねた高速化の優先が目立つ気がする。このアオスタ線もそうで、メインは1時間に1本のトリノ直通快速であり、各駅停車は影が薄い。加えて、イヴレア~アオスタ間に関しては、各駅停車と快速列車の停車駅数の差も小さい。

 帰路のバスは途中からの乗車が多かった

 ヴァレ・ダオスタ州の果ての町、クールマユールまでの旅を堪能した後は、来た道をトリノまで戻るだけである。そこで帰りはアオスタからキヴァッソまで、数少ない普通列車を乗り継いでみることにした。今回は一日でこれらを回るには余裕のある旅程であり、それゆえスケジュールをびっしり決めない気ままな旅を装ってはいたが、それでも実は十中八九、こうなるだろうという計画はあった。それというのも普通列車の本数が少ないからである。普通列車にも乗ってみることを考えると、往路はアオスタの町は後回しにしてバスで先へ急ぐことになり、復路にアオスタとイヴレアの2つの町を見学するのが一番効率が良く、イヴレアで分断されている2本の普通列車の両方に乗れるというわけである。

 クールマユールからの復路のバスは、日曜午後だからか、行きよりは利用者が多く、途中のバス停からも、観光客だけでなく、用務や帰省帰りと思われるような若い人も結構乗ってきた。そしてアオスタの町の中心を抜けて、駅前を通ってバスステーションへ。少し手前の市街地で降りても良かったが、大した距離ではないので、バスステーションから歩いてアオスタの中心部をざっと歩いて回ってみた。

 州庁所在地の風格あるアオスタ中心部  観光客で賑わうアオスタの繁華街

 アオスタの旧市街はなかなか活気があった。山に囲まれた清楚な町で、観光客相手の店も多いが、おしゃれなカフェやレストランも多く、どこも人で賑わっている。そこから少し横へ入ると、今度は官庁街とでもいうのか、日曜だからそちらはひっそりしていたが、立派な中層のビルが立ち並び、ここが州庁所在都市なのだと思わせるに十分であった。

 アオスタは、あと少しゆっくり歩きまわりたい町であったが、数少ない普通列車を逃すわけにはいかない。残念ながら滞在時間は50分で、16時25分発普通イヴレア行きの客となる。往路のトリノと同じような自動券売機があったので、イヴレアまでの切符を買う。駅名のイヴレアを入力すると、やはり時刻や列車番号が表示され、列車を選ばないと前に進めなかったが、出て来た切符は、列車の時刻が指定されていない、サイズも小さなものであった。運賃は4.80ユーロ。

 車輌はさきほども見た、電源車無しの気動車で、ブルーの3輌編成である。発車ホームも快速は駅舎前の1番線が多いのに、普通は地下道をくぐって遠い4番線と、区別されている。日曜ダイヤでは、トリノ行き快速が12本に対して、それのない時間帯を補完するように、普通が5本あり、全てイヴレア行きである。イヴレアで別の普通列車に乗り継いで、キヴァッソやトリノまで後の快速より速く着けるケースは、昼前後に1.5往復しかない。それ以外の3.5往復は、イヴレア以西の快速停車駅からキヴァッソやトリノへ行く人には利用価値がない。例えばこの16時25分発でイヴレアまで行っても、イヴレアから先は結局この後の快速になってしまうのである。

 数少ないイヴレア行き普通列車  イヴレア行きは4番ホームから発車

 そういう列車であるから、アオスタ~イヴレア間の短距離のローカル客にしか利用価値がないので、ガラガラであった。アオスタ発車時点で3輌で20人弱であろうか。それでも途中の停車駅ごとに多少の乗降がある。唯一、快速が停まらないドナスでは、乗降とも数名あったのに対して、日曜のみ快速も停まるオーン・バールは、往路の快速同様、この列車でも乗降客がなかったのが、妙に印象的であった。

 よくわからないのは所要時間で、快速と普通の差といっても、日曜ダイヤの場合、停車駅数は1駅しか違わないのに、普通はずいぶん時間がかかっている。具体的に日曜上りの場合、快速はアオスタからイヴレアまで、最速56分から63分までだが、5本の普通は、最終のみが65分で走るが、後の4本は72分から78分もかかっており、この列車も78分かかる。車輛は新型なので加減速性能や最高速度にもさして差があるとは思えないし、ましてや意図的に遅くする理由などないだろう。実際に乗ってみても、駅での停車時間がどこもちょっと長い気はしたが、気になるほどでもない。交換待ちでの停車2ヶ所がどちらも信号場で、そこが少し長いかなという程度である。乗っていて気づくほどではないが、きっと普通気動車は赤い快速より最高速度が少しだけ低いのだろう。

 イヴレア駅舎  イヴレアの中心部

 イヴレアは、清楚で気品あふれる印象のアオスタ駅前に比べれば、駅前がやや雑然としており、風格あるアオスタに比べれば駅設備はやや質素な印象で、トイレもなかった。だが町の方へ行けば、産業遺産以外にも見どころが色々あり、トリノにも近いからかもしれないが、観光客もそこそこ歩いていた。駅のアオスタ寄りに鉄橋があり、絶好な撮影地とは言い難かったが、せっかくなのでそこでアオスタ行き快速を撮影してから駅へと戻った。


 駅へ戻ると、1番線には乗ってきた気動車が、3番線にはそれと外見はそっくりながら、パンタグラフが上がった電車が停まっていた。外見が似ているのは当然で、これらはローカル線の輸送改善のために2001年から各線区に投入された「ミニュエット」と呼ばれるシリーズであり、電車バージョンと気動車バージョンの両方が同時に設計・製造されたのだそうだ。

 2番線の快速を待つ人が多いイヴレア  快速がそこそこの乗車率でトリノへ向かって発車

 2~3番線の島式ホームは列車を待つ客が多く、賑わっている。その2番線に定刻より2分早く、アオスタ発トリノ行きの快速列車が到着。日曜夕方だからだろうが、ここでかなりの席が埋まったようである。ここで快速から普通へ、同じホームで10分で接続して乗り換えの便宜も図っているわけだが、乗り換えた客はほとんどなく、3番線の18時50分発普通電車の車内は寥々としている。列車はイヴレア始発で、キヴァッソ経由ノヴァラ(Novara)行き。ノヴァラはキヴァッソからトリノと反対側のミラノ方向へ70キロほど行った、ピエモンテ州の果ての町で、トリノよりミラノの方が近い立地である。イヴレア~キヴァッソ間の普通列車は、平日・日曜とも、半分ぐらいはこの区間の折り返し運転で、残り半分はイヴレア~ノヴァラが運転区間になっている。

 貨物を扱った名残りのあるストランビーノ  ストランビーノで下り普通電車と行き違う

 行きに車窓から見た通り、この区間は風景も平凡で、面白みには欠ける。だから快速でさっさと帰ろうかとも思ったのだが、各駅に停まることで見える何かもあるかもしれない。結論として、風景にはこれといった発見もなかったし、停車する各駅も平凡なたたずまいではあった。それでも最初の駅ストランビーノ(Strambino)は、反対列車との交換で停車時間が長かったのでホームに降りてみれば、貨物駅の跡があるなど、過去の栄華を思わせる名残りがあった。

 存在価値が稀薄な各駅停車かとは思っていたが、乗ってみれば途中駅から利用する乗客がパラパラと存在し、各駅とも数名ずつの乗降客があった。乗車の方が多く、少しずつ客が増えてきた。その多くが若い人かお年寄りで、黒人や中国人などの外国人も多く、主には車を持たない交通弱者の足となっているようであった。平日の利用層はきっとまた異なるであろう。こういう区間こそ、本来なら平日に乗ってみるべきかもしれないが、そんなことまでしていたら時間がいくらあっても足りないので、ここはこの程度の観察で満足しておく。

 列車はノヴァラ行きだがキヴァッソで殆どが下車  黄昏のトリノで日帰り旅行が終わった

 列車はノヴァラ行きだが、キヴァッソでほとんどの客が下車した。若干遅れたこともあり、皆、足早に地下道をくぐって隣ホームに移動する。そこにミラノ発トリノ行きの快速列車がすぐにやってきた。堂々たる客車11輌の長編成快速列車である。客も多く、席の半分は埋まっていた。私もそれに乗ることにしたので、駅をゆっくり観察する時間もなく終わってしまった。それなりに疲れた一日の終わり、一本やり過ごしてキヴァッソの駅や町を観察するほどの気力がなかったというわけである。そうして黄昏のトリノへと無事戻ってきた。天候にも恵まれ、列車とバスを複数使い、町や村をいくつも歩けたので、十分楽しめた一日であった。


欧州ローカル列車の旅:トリノ~アオスタ *完* 訪問日:2022年9月11日(日)


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